2020年2月 9日 (日)

中華蕎麦の宇宙

お気に入りの中華蕎麦店。カウンターには紙ナプキンと割り箸、爪楊枝しかなく、調味料の類は一切置かない。主人の仕事ぶりを見ていても「量産」とは程遠い丁寧な仕事をする。だから客がカウンターに座って食券を渡してから中華蕎麦が出てくるまで15分はかかる。アルバイトの若い子が二人いるが彼らにチャーシューのスライス、薬味の下ごしらえ、麺を茹でることは任せる事もあるけれど、スープには一切触らせない。数種類あるチャーシューも店の手作り。麺も特注のブレンド品を数種類、用意している。徹底した拘りを経て供される中華蕎麦、丼の中はまるで宇宙だ。スープを啜れば感じる「味の引き具合」が添加物無しで合わせられた丁寧で手間の掛かる仕事を容易に連想させるのである。

我々の仕事には「丼(どんぶり)」がない。でも手掛けた部品に「宇宙」がないわけじゃない。仕上がった部品には仕様書や検査成績書に載らない「配慮」が隠されている。同業他社のものとパッと見て差はないかもしれないが、使い続けるうちに差が生じる「仕掛け」である。この仕掛けが競争力を生み、専門家がその光沢と「カラクリ」に驚嘆して宇宙を感じる時もあるだろう。少量多品種、少量生産で作り上げる我々の宇宙は中華蕎麦みたいに五感ではわからない。しかし、使えばわかる。

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2020年2月 1日 (土)

遅い年頭所感

久しぶりに記事を書く気になった。プライベートではインドアで過ごすことが多かったのに、思い切ってアウトドアに飛び出すことに成功したのである。カメラと三脚を車に積んで遠くまで旅することはここ数年、実現していたが車の中で寝泊まりしていた。それはそれで面白いのだが、これにキャンプ道具を加えて冬の氷点下でも快適に過ごせるようになるとキャンプ好きの人間が集まるようになる。仕事だけ充実していても面白くないなと感じて始めたことでオンもオフも充実させることができるようになった。

職場での業務内容は相変わらず「削る・磨く」である。現場が変わって対象となる材料の種類は変わって今は無機材料専門となった。言われたまま動くのではなく、こちらからの提案を欠かさない。いつも自分の周囲にはチャンスが多く転がってくる。非常に大きなテーマと重要性を持った案件に参加する機会もあって迷わず参加の意思を表明しても、オトナの事情で立ち消えになることはある。人との交流を絶たない限り「チャンス」は自分の方にいくらでも転がってくるものだ。誰かがこんな案件で困っていると聞けば「それ、ちょっとウチで試してみない?」と自然に声を掛けることは転がるチャンスを掴むのと同じじゃないかな。

週末の居酒屋では相変わらずサラリーマンたちが上司や会社への不満を酒の力を借りて語っている。若い時は自分もそうだった。20代、30代、40代と年齢とスキルを重ねて今は50代。自分が何をするのが良いことなのか、何ができれば自分のためになるのか、どのように変化することがこれからの日本で必要なのか、こういったことに自分なりの答えと行動力を持つべき年齢に達していると思う。自分の出した答えのひとつがフリーランスのエンジニアという形態である。やりたい事を形にするためにはどうしても、動きやすいこのスタイルが必須。

プライベートも充実してきた今、考えなければならない課題は健康管理と体力づくりだ。運動に関して「明日から本気出す」てな具合で何年も先送りしてきた。ジムに通って腹回りのたるみを引き締めるのが目標となる。そうしないと着れるスーツが無くなる。笑

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2019年8月24日 (土)

酒持ってこーい 🎵

今年の砥粒加工学会学術講演会は埼玉大学で開催される。地方の大学で開催されると地元のグルメが懇親会のテーブルに並ぶのだが今回は埼玉? 埼玉の美味しい食べ物って何だ?

そんな事を考えていたら学会の実行委員から、懇親会で提供する酒は持ち寄りでお願いしますと「天の声」笑。それでこの盆休みに長野県と滋賀県を旅したついでに小生が飲めない日本酒を買ってきたのだ。日本酒は良質な酒米と地下水に恵まれた土地で醸造されるから滋賀県北部で学会献上用の一升瓶を1本買ってきた。小さい瓶は長野県で調達。これは誰かにプレゼントしよう。小生は下戸なので日本酒の味が分からないけど飲める人に喜んでもらえると嬉しい。

それでは学会でお会いしましょう。

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2019年8月13日 (火)

友達価格?

150φで厚さが5ミリくらいの鋼材がある。これを指定された厚さに対して±1ミクロン程度で仕上げる案件。鏡面性は不問で2枚ある。これは研削加工で頼めないのかと聞くと厚さが直径に対して薄いので反るという。ラップ屋に持っていくと反りは出ないが平行が出ないときた。そういう事情でなぜか小生の目の前にある。お友達価格で頼むと言われたけど、今回はともかく次回からは容赦しねぇ。笑 

鋼材の研磨では粗ラップ用ダイヤモンドを結構な量を使うから1キャラットあたりの単価は安ければ安いほど良い。粒の大きなダイヤモンドは分級精度がそれほど厳しくなくても支障はない。しかし、超鏡面に必要な極微細かつ、分級精度が鋭いものは安定供給できるメーカーが限られる。結晶材に使うナノサイズのダイヤモンドではさらに鋭い分級精度でなければならない。実はナノダイヤモンドでは分級精度がクリアされていても懸念がある。それは電子顕微鏡で観察するとダイヤモンド単結晶とグラファイト、カーボンとの境がよくわからなくなっていることだ。この液体の底に沈殿している粉末の何%が「ダイヤモンド」なのかといつも考えている。全部がダイヤモンドなら良いのかそうでない方が良い影響があるのか解明されていない。それにそれはスラリー状になったダイヤモンドの使い方でも変わってくるだろう。

ダイヤを使った鋼材の超鏡面は殺人的なシャープエッジが立つ。このシャープエッジを好む金属部品があるのも事実で、ちょっとした誤魔化しが即クレームになって帰ってくる。精密機械部品のシャープエッジもそうだが大工が使っている鉋(かんな)の刃をダイヤを使って研磨すると指で触れるだけで刃が指の組織を断って肉にまで入り込むという悪魔的な切れ味を発揮する。これは近々、実験して動画で公開する計画を立てている。しかし、テレビにはもう出ない。笑

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2019年7月27日 (土)

春よ来い〜

転職回数が5回。これって日本人としては多い方だと思う。仕事に主体性を持つようになりたいと考えると技術を身に着けてそれを活かせるフィールドを求めて移動するからその結果、こういう転職回数になってしまう。

自分の仕事が組織の何処でどのように役立っているのか分からず、また社会や人に対しての貢献度など手応えが何ひとつないような状況に身を置いていることに意味を見つけられないなら自分から動けばいいのだ。

水は高いところから低い場所に向かって流れる。エンジニアの諸君も必要とされる場所へ流れていけばいいんじゃないかな。今いる場所から動こうとするにはいくつかの別のベクトルが働き掛けて「動きを留めようとするもの」「背中を後押しするもの」が出てくる。転職で住み慣れた土地から出ることもある。子供が就学児であれば転校に伴う心配もある。共働き世帯なら配偶者が仕事を辞める必要もあるだろう。子供が受験シーズンにあるなら単身赴任も考慮せねばならない。地元の友人と離れて新しい土地で再出発するのを嫌がる人は案外多い。ただ、これらは動きを阻害しようとする力でもある。

主体性を発揮できる現場、才能を活かせる仕事、必要とされている貴方のスキル、風通し良く柔軟で融通の利く組織、有給が取得しやすい環境など、目の前に提示されても今、動かない人はその後、一生涯動くことはない。そういう人間は常に他人や会社、社会に対して自分の不遇に関わる文句を言うことで自分を正当化しようと必死になるが、第三者から見ると質の悪いコメディーでしかない。

若い頃に満ちていた向上心を何歳になっても絶やさずに保ち続ける人は良い環境を求めて動くことを躊躇しない。需要がある場所へ彼らは導かれてゆくのである。向上心に乏しく同僚や上司、会社の不満をいつも誰かに話すことで「オレは悪くない」を主張する者に「春」は来ない。優秀な人材は隠れて語学を学び、資格を取り、専門的な勉強をして自身に付加価値を加えようと時間を有効に使う。そういう努力家に春はやってくる。

 

 

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2019年7月21日 (日)

工具袋と働くスタイル

仕事柄、個人のスマホと職場から支給されている内線電話機以外にも常に持ち歩きたいものがある。デジタルノギスとニッパー、ラジオペンチ、ピンセットなど工具類である。タブレットなんかも持ち歩くから結構な量になる。不要だろうと思って部屋に置きっぱなしにした時に限って必要になることもあるから常に持ち回りたい。それで腰袋を買ってみた。大工や電気工が腰に工具入れを下げて高所作業してるがアレほどゴツいものではなく、普段使いもできそうなライトなヤツを安かったのもあって試しに購入してみたのだ。腰に下げることができれば両手が空く。アレもコレもと持ち歩くようになると電気工が持ってるようなゴツい工具袋に進化するかもしれない。なんだか職人っぽくて嬉しい。笑

デスクに座ってPCで作業ばかりでは小生は苦痛でしょうがない。なので広い敷地内を歩き回って穴あけ、スライス、研削、研磨、評価をするだけでなく、空調が効いてて明るい洒落たロビーにある席で、問い合わせがあった案件についてネットで調査したり3Dモデルを作ってシミュレーションして対応可否を検討するという、社畜時代にはできなかったスタイルでストレスなく働いている。職場内で対応できない加工案件は基本、お断りするのだが、協力工場の設備で対応できるなら出張して設備を間借りした上で引き受けることもある。

緑が溢れる場所、紅葉した秋色の場所で車のバックドアを全開にしてテーブルを出し、お湯を沸かしてココアを飲みながらタブレットで図面を描いたりと仕事とプライベートが完全に区別されているわけではない。完全区別を推す人もいるけれど、それは働く小生自身がストレスのない状況下にいる以上、誰も文句を言えまい。自分に適した場所、職場、勤務スタイル、それを流行や曖昧な常識に流されず根気よく探す旅は簡単ではないと誰もが思うだろう。組織が貴方を不本意な状況に押し込めていると被害者思考で考えるか、組織を利用して力をつければ不本意な状況は「通過点」でしかないことに気がつくかで未来の価値は大きく変わってくるものだ。

自分がその時その瞬間にできる効果的な働きと選択が未来を切り拓く。

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2019年6月23日 (日)

レンズ表面の粗さ

樹脂レンズ用金型の表面はニッケルメッキ(NiP)で覆われており、これを単結晶ダイヤモンドバイトを用いて精密切削加工にて形状と粗さを確保する。切削痕である規則正しい同心円状の切削模様は回折現象を引き起こし、複数の樹脂レンズを組み合わせると写真上にゴーストが発生するという話をしたと思う。この問題を解消するために切削模様をCMP加工で滑らかに殺せば良い。最後は研磨技術でこの課題を終わらせた。

最近の一眼レフ、一眼ミラーレスの高級交換レンズは光を通す部品が全てガラス製、一部は結晶材で樹脂は使われていない。少ない部品点数、良好な収差補正、明るいF値、解像度を得るために非球面レンズの採用は不可欠である。ガラスは金型を用いてプレス成形されるが金型表面の仕上げは樹脂レンズ金型で採用されている切削加工ではなく研削加工である。超硬金属やセラミックでできた金型(金属じゃないけど金型って呼ぶんだよね)表面も最終的に研磨される。この金型の表面粗さは「解像感」にダイレクトに反映される。非球面レンズではないレンズは従来の研磨技術がそのまま使えるのでガラス表面を直接研磨して仕上げているかもしれない。

自分がプライベートで使用している一眼ミラーレスの広角レンズはヤバイほどデメキンである。保護フィルターがつけられない程のデメキン具合の非球面レンズだ。これの表面をZYGOで粗さの観察をしてみたいものだ。カメラ用のレンズと天体望遠鏡レンズの仕様は違うのだと思う。形状を写し取るカメラに対して点景を捉える望遠鏡では後者の方が粗さの影響が画像に現れやすいのではないだろうか。

野営しながらそんな事を考えた。

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2019年6月19日 (水)

常に自己分析すること

自分の働きによって現職場にどんな貢献をしているか、入所前と今現在の違いを客観的に考えてみる。こういった自分の労働に対する考察は常に自問自答する必要があり、その結果何も変化がないと感じるなら何らかのアクションを考えることになる。会社員として福利厚生すべてを面倒見てもらえるサラリーマンには必要ないかもしれないが、個人で働く現在は受け取る報酬に見合った「効果」を提示できているかシビアに意識しなければならないと考えている。

実験や研究に重要なな機器の準備には実験器具、治具に思った以上の高頻度な修正加工を要求される。雑な仕上がりで問題ないこともあるが「そこそこ正確」に仕上げるには外部の専門業者や他部署の人間にこれまで有償で依頼していた。チリも積もれば何とやらで、単純な加工でも数が増えると高額になる。費用よりも大きな問題は長い納期である。ここに来る多くの学生には研究期限があるのだ。

理系の実験に従事した経験がある人なら理解できると思う。何度も実験と評価、失敗と考察を繰り返すことで正確な結果を得ることができるから、できるだけ数を打ちたいのである。日本に来て1年近くで論文を仕上げて認められなければならないという多忙なスケジュールの間に何度の実験ができるかが論文の正確性を決めるわけだ。外注に依頼して待っている時間が待ち時間となって無駄無駄無駄!

少なくとも小生が来てからは実験器具の修正加工は頼まれてから数時間以内、実験サンプルの加工には数日というタイムラグで彼らに戻すようにした。その結果、期間を開けることなく詰めて実験ができるようになり、論文に必要な多くの実験データが余裕を持って集められるようになったはずである。治具を決められた長さ、厚さにザックリ切るとか穴を空けるなど「やっつけ仕事」から超精密加工まで引き受けることで外注に流れる費用を抑え、他の有益なものに使えるようになり、短期間に多くの実験ができるようになったと思う。少なくと小生が関わるグループだけでの話ではあるけれども。笑

もし、これらの効果が出なければ、ダラダラとぜず早々と転職しているだろう。効果が出せないのに報酬だけ受け取るというのが小生は我慢ならないのだ。

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2019年4月28日 (日)

問題解決能力

娘の就職先が長野県の医療機関に決まった。家財道具一式を揃えるのと引越しで今は大変だが、すんなりと内定が出てホッとしている。あまり出来が良いとは言い難い娘を一人暮らしさせるのに心配が無いというと嘘になる。男と女では一人暮らしにかかる生活用品にこんなに差が出るものなんだと改めて思う。自分が単身赴任した時は知人からの貰い物や中古品で揃えたものだが。笑

若い時の不勉強はちょっと笑われるだけで済む。でも歳を重ねた後での不勉強は仕事や人間関係で取り返しのつかない失敗を招くことがある。小中高大と学校に通う時代は学習能力の個人差が大きいが、社会に出て経験と勉強をしていれば30歳を越えると皆横並びになる。学生時代は机上の紙に書かれた問題を解くためのスキルを学ぶ。社会に出て働くようになると現実的で前例のない問題解決能力を問われるようになるのである。

専門性が高い課題は相談できる同僚や知り合いが極端に少ないし、他人に相談が許されない「オトナの事情」も絡んでくる。大人になってから、それが何歳になろうとも向学心と探究心が問題解決への狭い道を切り拓く力になるものだ。全ての役職者はこのような業務課題の最前線に立つ人間を支援するために召されているのであると自覚しているだろうか。技術者や現場を圧迫し、否定し、責任を押し付けて現場が必要だと申請した予算を出し惜しみする役職者、管理職は今すぐ退陣すべきである。

基本的に現場は常に大なり小なりの課題と向き合いながら生産活動を日常的にこなしている。現場にいても問題解決能力に乏しい人間は仕事が進まない理由を他人のせいにしたり会社のせいにする。個人の力ではどうにもならない会社組織が腐敗していると感じる優秀な人間はそこに長く留まることを望まず他の企業に籍を移すことを早々に選択して行動に出るものである。なので腐敗した企業に優秀な人材は留まらずに働きやすい他の企業の現場に流れて行く結果、抱える業務課題は永遠に解決されず腐敗した企業は競争力を得ることができない。

問題解決能力は現場で養われる。観察力、洞察力、脳内シミュレーション、実行力、交渉力、プレゼン能力など身につけておけばどこの現場に行っても力を発揮でき、成果を出すことができるだろう。そしてあなたの周りにあなたが必要とするスキルを有した人間が集まるようになる。

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2019年4月 7日 (日)

オプチカルフラット再生が高い

「オプチカルフラットの再生研磨」という需要がある。光学部品カタログを調べるとオプチカルフラット は結構な値段で販売されているのが分かると思う。レーザー干渉計をいくつも加工現場に設置するのは現実的ではないし、測定機を設置する環境も相応しくないことが多いので、簡易的でリスクが小さいオプチカルフラットを使った頻繁な現場測定が実施されている。現場で毎日使うからガラス表面に傷は入るし角が欠けることもある。ガラス表面が傷だらけになってくるとニュートンリングが見えにくくなるし、本来の精度も若干狂う。そうなると買い替えか再研磨か選択しなければならないが、先に解説したように意外と安い買い物ではない。磨き直して安く新品同様にできるなら万事OKという訳だ。

しかし、実のところ、この再生加工の手間は新品を作るのとあまり変わらない(笑)。 勿論、材料費だけはゼロなのだが深く入った傷を除去する前にカケや深い傷を除去する研削加工、研削痕を除去する砂かけ、面取り部がなくなったなら面取り加工を入れる必要がある。現場で酷使されるオプチカルフラットはどうしても扱いが雑になりがちで、傷だけでなく外周部をぶつけて欠けなど生じている。最終仕上げの平面精度を追い込む作業はピッチ研磨機を使うのが定番。できるだけ安く早く仕上げるにはピッチ研磨に入る前に十分な粗さと若干の凹形状気味に仕上げておけば最後のピッチ研磨が楽になる。ピッチで平面度を仕上げる工程は平面度の狂いを修正するだけに留めることが理想だろう。平面度修正の工程では能率を求めないし、大きな荷重をかけることもしない。これは研磨ピッチの変形を避けることで高い平面度に仕上がるコンディションを長時間維持するためである。

ピッチ研磨機は一般的な小型サイズで直径1メートル前後の直径を有する。数メートルに及ぶものもある。研磨ピッチというのは固体のように見えるが実は「液体」である。放置しておくと長い時間かけて流動性を示す。なのでマシンが稼働中はコンディショナーと呼ばれる重い円盤がピッチ表面を常時、平面に保ち続けている構造を持つ。マシンを止めると平面が狂うので装置に加工時間を設定する「タイマー」は付いておらず一日中、サイズが大きなマシンでは一年中、マシンを止めることなく動かしている。加工する製品が無くても動かしっぱなしにするという妙な装置なのである。

さて、オプチカルフラットの再生が「片面だけ」であれば新品を購入するよりも安いかもしれないが、両面とも再生して平面度を保証するとなると新品を購入した方が良い。一点モノを加工すると量産に比べてコストが高くなるのは当然なので再生してまで使おうとする理由が無くなってしまうからである。「再生の方が安いだろう」という思惑は両面加工の場合、見事に外れる。

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