2018年5月31日 (木)

え? 2日もかかるの?

単結晶サファイアのウェハーを複数枚同時にバッチ処理するとポリッシュ工程だけで2日かかると噂で耳にした。本当にそんなにかかるなら大赤字だ。なので「都市伝説」に違いないと思っていたのに、どうやら事実らしい。そりゃ受託加工屋がサファイアから撤退するわけですわ。頑張れば頑張るほど赤字になるなら事業として成り立たない。今は世界的にLED基板としての需要がある材料なのに小生の周囲にサファイア研磨でメシ食ってる加工屋はない。別の材料を量産加工で扱う傍でサファイアを受託加工しているところは数件、知っている。サファイアだけで!っていう研磨屋は知らないな。

数日かけて磨く理由は分かっている。梨地面からチッピングの無い平滑面まで持っていく工程で長時間を要しているのだ。この長い加工時間を「圧倒的な時短加工技術」で圧縮することができないだろうかと以前から考えていたワケで、いよいよ実験するための部材が揃うこともあり、またここで面白い成果が報告できるかもしれない。ところがこの技術が完成しても日本国内にはこの価値を評価してくれる企業が先に述べたように既にない状況である。となると海外の工場にて実績を作ることになるだろう。

これを「技術の流出」と捉える人もいるに違いない。しかし、考えてもらいたい。エンジニアの我々が構築したプロセスは誰かに使ってもらってこそ価値がある。使う場所がない国内に温存することに何の意味がある? 量産技術は使ってもらってナンボである。このサファイア量産向けの加工技術が完成したとして実際の工程に投入するのはコスト対策に良い意味で貪欲な工場だ。そして実績ができたところで日本へ逆輸入される可能性もある。

今後も必要とされる場所に赴く。需要があるのなら国境を、業界の壁を越えてエンジニアとして貢献できる場所、活躍できる場所を求めていこうと思う。だけど、技術開発拠点はここ、ニッポンに置いておく。

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2018年5月 3日 (木)

量産案件は欲しいが・・・

受託加工で売上を確保するには量産案件が数種類あることが望ましい。人件費を含めた諸経費を差し引いても利益が見込める体制を整えないと技術力が高い低いに関わらず、赤字体質に陥るからである。少量多品種というのは「難しい特注案件を数多くこなしますよ」といったアピールに聞こえるかもしれないが、単価が高くても段取りや加工条件の切替、治具の準備に要する時間などを含めると十分な売上確保が現実的に難しい。単価が安くても数量が保証されているものは取り組むに値すると思う。

理想的な案件は「需要が高くて安定供給が求められるもの、難易度が低く、加工単価は高いもの」だ。しかしながらこの業界にそんな美味しい話がそうそう転がっているわけがない。例を挙げるとパワーデバイス半導体材料のSiCでは立ち上がると噂された年を何年も過ぎているのに量産にはまだ至っていない。材料が多く出てこないものだから加工屋が時間を持て余している状況だ。加工単価はシリコンやサファイアよりも高いと思われるがウェハー単価自体も高いこの現状では量産加工と言えないし、この材料の加工だけでメシを食うことはできないと推測される。

一方で数量が大量に出ているLED用サファイアでは「長過ぎる加工時間」のせいで、量産加工を受託すると加工屋が潰れると言われる。結晶成長から手がける材料メーカー、あるいはデバイスメーカーが前加工を内製化して手がけてやっと黒字にできるから、研磨加工のみで量産を引き受ける企業は少ない。加工時間はSiCよりもサファイアの方が遥かに長いのに加工単価はサファイアが驚くほど安い。需要が大きいのに単価が日本人の人件費に合わないのだから海外で量産される流れになった。加工が簡単なものなら価格競争になって人件費の安い海外に日本は太刀打ちできないから「選択と集中」によって難しい材料、難しい仕様で数量が出るものを狙うしかない。さて、そんな案件が存在するのだろうか?

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2018年4月 8日 (日)

見習いたいです(`・ω・´)

男性である知人は、自分の会社を「仕方なく」立ち上げる時に「女性に長く働いてもらえるような職場にしたい」と考えたらしい。出発点がそこからなので今でもブレずにその方針を貫いている。同じ業界を見渡してみると、なかなかそういう職場はなくて男性に有利な職場が目立つ。大きな企業でも女性の社会進出に手厚い支援をしている企業は数えるほどしかない。

出産を機に退職する女性が多いが子供が大きくなってくると何かと出費が多くなる。正規で働いていた職場に復帰できれば過去のキャリアが無駄にならなくて済む。産休期間中に7割程度の給料が支給されるだけではなく、復職してもらうために会社指定の子供の預け場所(保育所)が職場の近所に用意してあれば復帰が容易になる。知人は女性従業員に対してこの辺りまで踏み込んで用意しているというから驚きだ。

超ブラック企業で苦労した彼自身の経験が生かされていると感じる。小生もそういう時期があったので素直に感心しているのだ。自分が万が一、会社を立ち上げる事になってしまったら彼を見習いたい。汗臭いオッサンばかりの職場より女性が多い方がいいに決まってる。笑

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2018年4月 7日 (土)

ポリ結晶の平滑化(続報)

平滑平坦な研磨面を研削加工で得られないかと検討した結果、現状で平均3nmRa程度まで可能と判断した。最終的に研磨で仕上げるなら前工程として丁度良い表面状態だと思う。この材料、数字的には研磨でもこの粗さに到達するのは実はなかなか大変なことらしい。「らしい」とか他人事みたいに打ってるが大変だった。笑

この材料を仕上げた過去、当時は微粒ダイヤモンドを使って平滑化した。加工費もそこそこ高く、数量も数個という限定品だったからである。ところがこれが大量生産で加工単価が激安となると話は変わってくる。ダイヤモンド砥粒では「価格が合わない」のである。そこで、ダイヤモンド以外の激安の消耗品を使って1nmRa以下の平坦平滑面を実現することが可能かを「検討するシリーズ」となった。あと、別に誰かに頼まれたわけではないので個人的な趣味の取り組みであることを最初に断っておく。

しかも、スラリー状に調整されたものは値段が高いからパウダー状で大量に安く購入できるものを選択して使用前に自分でスラリー状に調合すると更に安い。そうすると使用できる砥粒なんて決まってしまう。スラリーにした時に1リッターあたり何円で作れるかを考慮するならパウダーで買おう。良い子の豆知識だ。作業者が正社員だと人件費が高い。最初の立ち上げはともかく、生産作業はアルバイトやパートの人でもできる簡単なレシピにするなら人件費も安くなる。

そこまで考えてたのか!と言われれば・・・そんなの偶然に決まってんだろ!( ^ω^ )。 前置きがすごく長くなったがこの「1nmRa以下の平坦平滑研磨が難しい」とされる材料をダイヤモンドフリーで仕上げた成果が以下の画像になる。この材料でお悩みの現場もあると思うので参考にしていただきたい。

Mgal2o4


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2018年3月24日 (土)

サファイア研削は今日も難問

サファイアウェハの量産工程で研削面(あるいは梨地面)から準光沢面を得るには少なくとも20から30ミクロンを磨きで落とす必要がある。この「準光沢面」というのはどういう状態なのか説明すると、「研削痕、ムシレ、チッピングは確認できないがCMPで除去できる浅いキズは全面に残っている状況」を指す。

研磨機メーカーでは枚葉式で1μm/minのスピードで準鏡面状態まで持って行けるユーティリティーを提供しているところもある。サファイア基板がLED照明に採用されることによる大量消費に足並み揃える形でこのような量産研磨のユーティリティーは枚用高速型か、バッチ式処理型かに二分されている。

梨地面(研削面)から準光沢面を得ても最後のCMP仕上げで研磨キズ除去に何時間もかけるなら、準光沢面に残るスクラッチを除去する研磨を1段挟むことでCMPに要する時間を短縮できる可能性がある。しかし、SiやSiCのプロセスでトレンドの精密研削加工でチッピングのない光沢面を実現しているのに、サファイアの加工プロセスにおいて研削加工は未だに「粗加工」のままである。お金が動く材料には超精密研削が実現されて、お金が動かない材料は粗研削までで放置されているような気がする。笑

サファイアの鏡面研削に取り組んでいる企業は存在するのだろうか。研削加工でチッピング、ムシレのない表面が得られると単純に現状の加工時間が半分以下に短縮できる見込みがある。過去の実験で高番手砥石で研削したサファイア表面をCMPで1ミクロンづつ落として精密研削面の消え具合を観察したことがある。サファイアのチッピングやムシレって厚さ方向に深く入るようで20ミクロンほど研磨で落とさないと消えない。

ここは停滞気味の精密研削技術が何か良い成果を見せてくれるとサファイア業界ではホットな話題として広まることだろう。チッピッグフリーの研削面が実現する日は来るのか? (・∀・)

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2018年3月10日 (土)

ポリ結晶の平滑化

通常のパッド研磨ではポリ結晶を平坦に磨き上げることが難しい。結晶粒界が顕著に目立つ仕上がり面を経験者は見たことがあると思う。素材自体が焼結材ではない多結晶である。焼結材のセラミックスにはポーラス(隙間)があるために機械加工だけでこの隙間を無くして平滑にすることは理論上できないが、隙間が無いポリ結晶であれば結晶粒が目立たない平滑面を機械加工の力で実現できる可能性がある。

少量生産で高付加価値のある製品にインストールされるデバイスなら加工コストを無視した加工手順をいくつか思いつく。ところが大量生産で加工に振り分けられる価格設定がバカにならない案件では安い設備、既存のユーティリティーを活かしてパートさんやアルバイト人員で処理できる「簡単なプロセス」を要求される。現場に遊休設備の両面研磨機が何台もあるなら両面研磨でポリ結晶を滑らかに仕上げる「研磨パッドと砥粒のレシピのみ」で結晶粒界をコントロールしなければならない。これが片面研磨機ならポリッシャと砥粒の種類の選択肢が格段に増えるのでまだ希望はある。過去の事例でポリ結晶の平坦化には硬質ポリッシャの利用が有利であった。ただ、専門家でないパートさん、アルバイト人員に任せられるものではなかったと記憶している。

「研磨」以外でポリ結晶の平坦化に有利なのは固定砥粒加工である。研削加工で必要な平坦性を得られるかもしれない。「かもしれない」というのは材料の種類によって脱粒やムシレ、チッピングが平坦性、平滑性を逆に損なうことも考慮されるからである。高番手砥石の性能が上がってきたといえ、砥石には被削材との相性というものがある。近々これを実験する予定があるので面白い結果が出たなら続報としてここに掲載できると思う。ただ、良い研削面を得るために必要な高番手研削砥石の実力を余すことなく発揮するためには高級なマシンが必要になる。某T社製の理想的な研削盤は標準仕様で7,000万円を超える。何台もフロアーに並べて使える代物ではない。笑

まずは普通の5000番で削ってみた結果↓
5000g


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2018年2月17日 (土)

「聞いてねーよ!」を連発

「打ち合わせをするので、参加しませんか?」と誘いがあったので「いいですよー」と軽いノリで行ってみたら大変なことになってた。ギャラリーのつもりで参加OKしたのに「プレゼン代表者」にされていて笑った。通された部屋に新型のプロジェクターが置いてあるのを見て修羅場。出川哲朗やダチョウ倶楽部の上島竜兵みたいに「聞いてねーよ!」と何度も胸の内で叫んでいたんだけど相手に伝わったかな。

プレゼンの予定をしていなかったから軽い装備で参加しちゃった。でも出掛ける直前に「もし、何か必要になったときのため」にHDMIケーブルを持参していったことが幸いした。日常的に持ち歩いているiPadには仕事の資料、データ、顕微鏡写真が収めてある。また、旅先で撮影した写真をその場で編集してSNSにアップロードしたり大きな画面に映して人に紹介するための変換ケーブルなども数種類、持ち歩いている。「お客様モード」で寛いでいたら「何かプレゼンお願いできますか?」と指名されて焦ったが用意はできていたことになる。無茶苦茶、喉が渇いてペットボトルのお茶を一気飲みだ。こちらの修羅場を表に出さずにプレゼンを終えて涼しげな顔で終始笑顔。(^◇^)

前もって頼まれれば今度からもうちょっと面白いプレゼンやるよ。笑

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2018年2月 4日 (日)

思いつきでツールを作る

その材料自体は光沢を得るのに難しい工程が必要なくても限られたユーティリティーや現場の事情によって理想的なプロセスが組めないことがある。理想的な工程に必要な台数のマシンを設置するスペースがない、予算上購入できる台数が限られているなど利益を出すために爪に火を灯すような企業努力が国内企業では珍しくない。故に現場の空気に黙殺されて「新しい機械を1台入れよう」と声すら上げられない現場の状況も理解できるというものだ。小生もそういう経験あるからね。 

従来は4工程で仕上げるところを訳あって2工程で仕上げなければならないとなると、工程を削る代わりにトータルの加工時間が長くなるのだろう。工程数を変えずに長い加工時間を少しでも短くできないかという問い合わせが時々入ってくるので考える機会が多い。マシンの増設は不可能。(減らすことは可) そうなると変更できるのは消耗資材(工具)だけになる。しかも工具と言っても「研削砥石/研磨パッド/研磨砥粒」の3種類に集約される。つまり、既製品から最適な組み合わせを探すか新しい工具を考案するかの2択である。工具を作るなんてそんな簡単なものじゃないと思っていた。これまでは。

最近になって「新しい工具」を試作するために重要な協力者が自分の周囲に存在するのかノート上に書き出してみたところ、重要な項目が全て埋まることに気が付いた。すぐに彼らと連絡を取ってみたところ全員が「ノリ気」だったというのも出来過ぎ。笑

思いついたことはどんどん進めていかないと後悔する年齢になっていることもあり、思いついたことを実行に移すか移さないか、即ち「やるかやらないか」という選択で躊躇しない。「やってみる」一択である。やってみて上手くいかなければ次の「できること」を探せばいい。

優れた現場には「擦り合わせ型のスタイル」が根付いている。競争力のある現場には言われたことだけを忠実にやり遂げる以上の技術交渉力があるのだ。課題を解決するには必要な部分と妥協しても品質に影響がない部分を切り分けて交渉する現場の能力が活かされる。逆提案するチカラである。この「チカラ」を支えてくれる新しい要素として「新しい工具」が加えられようとしている。

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2018年1月20日 (土)

広告収入は0円

管理人の趣味で始めたこのサイトには関係企業サイトへのリンクが貼ってある。PC表示画面で見ると左右に表示されているはずだ。何かのイベントで立ち話している時にどなたかが「広告収入があるんでしょう?」と言っていたのを思い出した。アフィリエイトで稼ぐ人もいるわけだし、これほど多くの企業の紹介をしているわけだから小金が入ってきてもおかしくないと思われているようだ。ぶっちゃけた話、小生が勝手に紹介しているだけで何処からも宣伝費などもらっていない。このサイトで入ってくるお金は残念ながら0円である。(`・ω・´)

日本中にある鉱物を薄く磨いて顕微鏡写真を撮る「研磨屋YouTube」を始めようかと考えたこともあるがネタがあまりにもマニアック過ぎて実行に移せずにいる。でも思い出してみるとこのサイトを始めた時は勢いだったし、もしかしたらYouTubeにも勢いで上げてしまうかもしれない。笑

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2018年1月11日 (木)

サポートが終了らしいぞ

親指の爪くらいのサイズ。こういう材料から薄いウェハーを数枚ほど切り出したいという時は外周刃切断機ではなく内周刃が有利だ。なので放置してあった内周刃切断機の操作を覚えてみんなが使えるようにしたら大人気。ところが既に製造中止になった装置だったこともあって昨年末、メーカーから「サポート終了のお知らせ」が届いた。次からどこか不具合が生じると自分で修理するか、生産している他のメーカーの中古品か新品を導入するかしなければならないことになる。

数枚を切り出す、スライス厚さは頻繁に変える、手早く切りたいというワガママはワイヤーソーで実現できない。この職場の状況を考えると今後も内周刃スライサーが選ばれると思う。小型の機械は需要があるのでメーカーさんは販売を継続して欲しい。それで岡本工作機械の内周刃スライサーの見積もりが欲しいのだが誰か持ってきてくれないかな。( ^∀^)

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