« 2020年9月 | トップページ

2020年10月

2020年10月 4日 (日)

懐かしい金属部品

何年も脆性材料を手がけているところに突然、大きな金属材料の依頼が来ると勘が狂う。大きいと言っても6インチ。小さい材料ばかり手がけている現在では「大型」の部類だ。昔は金物ばかり磨いていた時期が何年かあったが若手に技術移管してからはずっと結晶材料、セラミック材料だった。金属部品の研磨技術を評価されて関西から関東に引っ越してきて現在に至る。今、手元にあるこの部品はプロフェッショナルとして自分に大きな変化のきっかけを与えてくれた感慨深い製品だ。大きな精密研磨面に写った自分の顔を見て20年前の自分と重ね合わせるノスタルジー。笑

鋼材研磨が単結晶材研磨と比較して難しい部分、それは純粋な材料ではなく不純物が多く含まれているのを承知で平坦化しなければならないことだ。材料的な機能は問われないから表面の粗さ、形状精度だけが問われる。ゆえに加工変質層という考え方はこの部品に必要ない。金属顕微鏡で見える傷も問われないが目視で見える傷はダメだ。平面度、エッジのダレ無しを問われる部品では基本、仕上げのパッド研磨ができない状況にある。今回の金属部品ではエッジを問われず最終仕上げにパッド研磨を施すことができた。それでも短時間で10分程度である。

こうして仕上げられた鋼材は表面粗さ1nmRaを切る。こんな精密な研磨面を鋼材に要する案件は国内にもう数えるほどしかないと思う。10年後にはロスト・テクノロジーになっているかもしれない。加工中に立ち上る金属の削れる独特の香りが一層、これまで歩んできた道のりを思い出させてくれる。

 

| | コメント (0)

« 2020年9月 | トップページ